ケアをとおして世代交流を
「介護」というと、入浴、排せつ、食事などの三大介護として理解する向きがあるようです。
確かに、介護サービスのなかに占めるこれらの業務が大きなウェートを占めていることは否定しませんが、私たちの介護の最終目的はそれだけに尽きるものではない筈です。
介護保険法はその目的として、利用者の方々がその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるように支援すべきと規定しています。
有名なミルトン・メイヤロフは著書「ケアの本質−生きることの意味−」のなかで「ケア」とは相手が成長し、自己実現することを助けることであり、相互信頼の深まりとともに、互いに成長するものなのだといい、あたかも両親が子供を、教師が学生を、夫が妻をケアすることと共通のパターンなのですと説いています。ケアを通して、お互いに成長していくことが「ケア」の理念であり、理想なのです。
そこで、介護、つまり「ケア」のプロとして働いている私たちは、この理念にどのようにして近づけることが出来るでしょうか。もちろん、毎日の三大介護も欠かせませんが、それに加えるプラスアルファは何でしょうか。
利用者の方々は介護する私たちの年令よりも三〇才から六〇才以上も年上であり、こういう方たちとどのようにしたら人格的交流が出来るでしょうか。共通の話題、時代を超えて共感できることとして、今日は一つの提案をします。
それは高齢の利用者も私たちも親に抱かれながら歌った昔からの童謡を共に歌うことです。
そして、その歌を通して生きてこられた時代の物語を利用者から語っていただいたらどうでしょうか。
出来れば互いに手や腕を組みあって歌い、いのちの連らなりを実感してはどうですか。
私たち若年者は人生の先(せん)達(だつ)の語りを傾聴し、受容しながら共感することが出来れば、これこそ真の世代交流となるでしょう。
